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年金事務所の総合調査、会計検査院調査、労働基準監督署の調査対応

年金事務所の総合調査、会計検査院の調査、労働基準監督署の調査対応業務

行政の調査とは

主な行政の調査を大きく分けると、行政の職員が会社を調査するものと国の会計検査院が行政のことを調査する2種類に分けることができます。
会計検査院の調査は、企業にとってみると関係ないと思うかもしれませんが大きな間違いです。会計検査院の調査は、税金等が正しく使われているか又は法令通りの手続等が正しく行われているかを調べる調査です。行政が正しく機能しているかどうかを調査するということは、結局企業が正しく手続きをしているかどうかの調査になります。そのため一般的な通常の行政の調査より格段に厳しくなります。

主な労働・社会保険行政における調査の種類

一般的な労働・社会保険行政の調査は、次の通りです。
①労働基準監督官による調査(会社訪問・労基署に呼び出し)
②労働保険徴収室による調査(労働保険の申告計算が正しいかどうか、雇用保険の加入漏れの調査)
③雇用環境・均等室による調査(育児・介護休業法に関する事項、パート労働法に関する事項、雇用機会均等法に関する事項等の調査)
④職業対策課、職業安定課による調査(助成金等の不正受給等に関する調査)
⑤需給調整事業室(派遣、職業紹介による調査)
⑥年金事務所の総合調査
⑦会計検査院による労働保険の申告が正しいかどうかの調査
⑧会計検査院による年金事務所への調査
⑨その他多数

労働基準監督官による調査とは

労働基準監督官による調査は、会社が最も恐れるものです。調査のきっかけは次の場合が多いですね。
① 労働者から労働法違反の申告(俗にいう密告)があるとき 
② 定期的な労基署の調査の対象となったとき
③ 重大な労災事故等を起こしたとき 
調査は、労基署に呼び出すものや企業を訪問するのがあります。監督官が企業を訪問するときは、いきなり訪ねてくることが多いですね。もちろん事前に電話があり、訪問日時を約束する場合もあります。
申告(密告)による調査の場合、残業代の未払いの申告が一般的です。必ずタイムカード、賃金台帳、労働者名簿の確認がなされます。確認後、未払い残業代があると3か月又は4か月さかのぼって、未払い残業代を計算して全員に支払えと是正勧告をされます。退職者の申告の場合は、申告者についてのみ2年間(今後は3年間)さかのぼって支払えという是正勧告をされるときもあります。労働基準監督官の調査を受けると健康診断が正しく実施されているかどうかの、記録を保管しているかどうかのチェックが必ずなされます。

年金事務所の総合調査のポイント

年金事務所の調査は、最近活発に行っています。4年間で全事業所を調査するよう指示が出されています。
総合調査のポイントは次の通りです。
・控除している保険料が正しいかどうか
・資格取得日が正しいかどうか
・資格喪失日が正しいかどうか
・算定基礎届が正しく計算されているかどうか
・月額変更届が正しく届出されているかどうか
・賞与支払届が正しく届出されているかどうか
・強制適用なのに適用していない社員がいるかどうか(加入漏れ)
・パート労働者の加入状況が正しいかどうか
・年末年始手当の賞与支払い届漏れがあるかどうか(病院や社会福祉施設は要注意)
・社員の紹介で会社に入社したときの紹介手数料について賞与支払い届漏れがあるかどうか(この部分については納得がいきませんが・・・)

調査を実施した企業には、優良な企業(A評価)には数年に1度、概ね良好な企業(B評価)は2年に1度、問題の多い企業(C評価)には重点的に調査を繰り返すよう格付けしています。

もうひとつ大事な調査として、厚生年金等を受給していながら厚生年金に加入していない60歳以上の人に関しても調査があります。

近年の年金事務所の総合調査は、本当に厳しくなっています。
以前は、契約社員やパート社員の適用漏れが見つかったときは、調査を受けた月から社会保険に加入したり、今月から出勤日数や労働時間を減らして、適用にならない働き方をすると約束することが可能でした。
しかし、3年ぐらい前からかなり厳しくなり、適用漏れがあったときは、原則2年さかのぼって適用されてしまいます。2年分の保険料を納めることになりますのでかなりの額になります。適用漏れの社員から保険料をもらえるかという問題もあります。税務署の調査と違い年金事務所の調査は緩いと思っている事業主が多いものですが、本当に注意が必要です。適用漏れについては、会計検査院の調査と同等に厳しいです。

年金事務所の総合調査とほぼ同じ内容で会計検査院による調査があります。これはかなり厳しく、法律に基づき有無を言わせず是正させられます。
社会保険の加入もれが見つかると2年間遡って適用となります。後日、2年分の保険料が徴収されます。正社員やパート労働者の加入漏れが見つかると膨大な保険料が徴収され経営に大打撃が予想されますので普段から適切な手続きを心がけたいものです。
さらに、厚生年金受給者で適用漏れが見つかった場合は2年間遡って適用になり保険料が徴収されるとともに、2年間遡って受給中の厚生年金が調整されます。これは会社にとっても年金受給していた社員にとっても、かなり大変な事態です。あまり報道されていませんが、会計検査院が年金事務所に調査に入るとかなりの年金受給者が涙を流しています。本当の話です。
では、なぜ会計検査院は、年金受給している人が社会保険の適用漏れであることが分かるのかという問題があります。一説にはいろいろ言われておりますが、ここでは省略しておきます。
茨城県の場合、年金事務所へ会計検査院が入るのは、2年に一度(連続の年もあり)とされています。 注意しましょう。

行政調査

労働基準監督官が、突然会社を訪問して来ました。定期監督のために来社したと話していますが、本当でしょうか?

労働基準監督官が突然会社を訪問するときは、概ね申告や密告があったときが多いですね。ただ、監督官も密告があったので会社に来たとは言いづらいし、犯人探しになる可能性があるので、定期監督という名目にしている方が多いように考えます。逆の言い方をすると監督官は、申告により予め会社の実情を熟知していることが多いので、逆に隠し立てをすると、会社にとって良くない結果になることが多いものです。
会社の内情を知っていることが多いため、虚偽の報告はせずに、ありのままの実態を話すしかありません。

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